登山初心者が”初心者向け”を真に受けて丹沢大山に登ってみたらきつかった

丹沢大山登山が想像以上にきつかったことを伝えるイメージ画像 山歩き

”初心者向け”と紹介されることの多い神奈川県の大山ですが「自分にも登れるかな」と不安に感じていませんか?

実は初心者向けなら「誰でも登れるのか?」と聞かれれば、答えはNOです。

私は何度も大山に登っていますが、初めて登ったときの感想は「これが初心者向け?」「もう二度と大山には来ない!」といったものでした。

この記事では、「体力に自信のない中年」である私が、大山登山のときに感じた”初心者向け”とのギャップとその対策について、実際の失敗談とともにお伝えします。

大山ってどんな山?

神奈川県伊勢原市にある大山(おおやま/標高1252m)は、都心からのアクセスが良く、日帰りで登れる人気の山。登山客だけでも年間約13万5,000人が訪れる神奈川を代表する山のひとつです。山頂からは相模湾や富士山を望むことができ、天候に恵まれれば開放的な景色が広がります。

登山口周辺にはお土産屋や飲食店が立ち並び、標高695mまでケーブルカーで登れるため、観光と登山の両方を目的に多くの人が訪れます。

大山山頂から望む相模湾
大山山頂から望む相模湾

大山へのアクセス

大山には複数の登山コースがありますが、ここでは最も利用者の多い「大山ケーブルバス停」までの行き方を紹介します。

電車・バス

最寄り駅の伊勢原駅までは新宿から小田急線で約1時間、伊勢原駅からは「大山ケーブルバス停」までバスで約30分です。詳しくは公式サイトをご確認ください。

大山・大山阿夫利神社方面へのアクセス|丹沢・大山エリアナビ

マイカー

伊勢原大山ICから約10分、秦野丹沢スマートICから約40分ほど。駐車場はありますが、土日や連休は朝早くから満車になることが多いです。

大山は本当に”初心者向け”か?

「神奈川県大山は初心者向け」という情報は多くありますが、そもそも誰が初心者向けと決めているのでしょうか?それはズバリ”経験者”です。

実際に私は初めて大山に登った時「これが初心者向けなら私に登山は無理だ」と感じ、2年目の今は「キツいけど初心者向けだな」と感じます。この感じ方の変化は、体力がついたからだけではありません。

ここでは初心者目線の”初心者向け”と、経験者目線の”初心者向け”とのギャップについて独断と偏見を交えながら解説します。

なぜ大山は”初心者向け”と言われるのか?

”初心者向け”には大きく分けて二つの意味があります。
ひとつは体力面での初心者向け、もうひとつは技術面での初心者向け

大山の登山道はよく整備されていて、特別な登山技術がなくても登れます。
「登山の技術がまだない人でも登れる山」という点は、確かに初心者向けと言える要素です。

ケーブルカーがあるのも”初心者向け”と言われるポイントです。
下社まで一気に標高を稼ぎ、歩く距離や標高差を抑えれるため、ハードルが下がります。

初心者向けと言われる主な理由
  • 特別な登山技術を必要としない
  • 登山道が整備されていて、道迷いのリスクが低い
  • ケーブルカーがあり、歩く距離や標高差を調整できる

これらの情報を並べると、登山2年目の今は「確かに初心者向けだな」と思えます。ただ、初めて登る前に「こういう理由で初心者向けね!」なんて考えるのは難しいですよね。

初心者がイメージする”初心者向け”

”初心者向け”という言葉からどんな山を想像しますか?

大山の情報を調べると、”初心者向け”といった内容が圧倒的に多く、緩やかで気軽なハイキングコースを想像してしまいがちです。

しかし実際は、「お散歩」や「ハイキング」というより、しっかりとした登山道です。
コースによっては大きな岩がごろごろしていたり、鎖場があったりして、足運びやバランスに気を使う場面もあります。

さらに大山はアクセスが良く、観光地として訪れる人も多いです。
人が多く訪れる場所は、それだけで「気軽に行けそう」という印象を持たれやすいです。また知名度が高いので行き先として思いつきやすいですよね。

初心者がイメージする”初心者向け”とのギャップ
  • 傾斜が急で、緩やかなハイキングコースではない
  • 本格的な登山道で、お気軽な雰囲気はない
  • 人が多く訪れる=簡単、というわけではない

まんまと「初心者向け=緩やかなハイキングコース」をイメージしていた私は、初めて大山を登ったときに「どこが初心者向けなの!?」と、心の中で叫んでいました。

「初心者向けの高尾山」と「初心者向けの大山」

ここでは、同じく”初心者向け”と紹介される高尾山と大山を比較します。
大山は高尾山よりも距離が2km短い一方で、標高差は120m高くなっています。つまり、短い距離で一気に標高を稼ぐ必要があり、その分傾斜がキツい山だと言えます。

山の名前登り距離登り標高差
高尾山(1号路)3.8km468m
大山(ケーブルかーあり)1.8km588m

ひとくちに”初心者向け”といっても、実態にはかなり幅があります。

初心者が”初心者向け”を真に受けて大山に登った結果

初心者向けなら私でも登れるだろう」と、少し緊張しながら大山を登り始めましたが、結果的に途中で引き返すことになりました。その原因は大きく3つです。

1つ目は体力を過信したこと。
もともと歩くのが苦手で、平地を10分歩いただけでぐったりするほど体力がなかったのに、ちょっと長く歩けるようになって「自分史上最高に体力がある」と、調子に乗ってました(恥)
さらに、自分の中に「初心者向けか」を判断する基準をまったく持っておらず、「今の私ならいけるかも」と、根拠のない自信を持っていました(恥)

2つ目は下調べが不十分だったこと。
ケーブルカーに乗るつもりでしたが、着いたのはケーブルカー始発の1時間も前でした。白状すると「初心者向けの緩やかなハイキング」に出掛けるつもりだったので、ほとんど何も調べずに行ってしまったのです。何をするにも下調べや準備は大切ですが、登山においては、より一層重要です。

3つ目は想定外を無視して決行したこと。
ケーブルカーが運行前という想定外に直面した私は、運行開始まで待つでもなく、諦めて帰るでもなく、ケーブルカーなしで登り始めました。ケーブルカーなしだと負荷は大きくなるため、当時の私にとっては無謀な挑戦でした。今なら絶対にやりませんが、知らないというのは恐ろしいです。

大山阿夫利神社下社
大山阿夫利神社下社

最終的に阿夫利神社下社まで登り、ここで撤退することにしました。下山する余力もなく、ケーブルカーで帰ることに。
今でも「何事もなく下山できたのは、運が良かっただけ」と反省しています。

登る前に確認したい”自分の体力”

体力はどのくらいありますか?」と聞かれたら、なんと答えますか?

多くの人は「あまりないかな?」とか「体力はあるほうだと思う」など、感覚的な答えになると思います。比較対象も昔の自分や、生活スタイルが似ている家族・友人になりがちです。

「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、自分の体力を正しく把握しておくことは重要です。ここでは、なるべく客観的に自分の体力を知る方法をご紹介します。

メッツ表(運動強度の指標)を参考にする

メッツとは身体活動の強さを示す単位で、「運動のメッツ表」と「生活活動のメッツ表」の2種類があります。この表を参考にし、普段自分が「何をしたときにどの程度の疲労を感じているか?」を客観的に確認する方法です。

例えば「階段を上る」は4.0メッツ、日常生活で階段を上るのがつらいと感じていたり、息切れしたりする場合は、6.5メッツの登山は厳しいかもしれない。といった具合です。

メッツ運動日常生活
5.0野球、サーフィン、スクワットかなり速歩
5.5バドミントンシャベルで土や泥をすくう
6.0ゆっくりとしたジョギングスコップで雪かき
6.5山を登る(軽い荷物)
7.0ジョギング、サッカー、スキー
8.0重い荷物の運搬

上記は「厚生労働省の健康日本21アクション支援システム健康づくりサポートネット」で公開されているメッツ表を参考にしています。
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム健康づくりサポートネット メッツ表

実際に⚪︎⚪︎山公園へ行ってみる

体力に自信がなく基準も分からない人は、近所の「⚪︎⚪︎山公園」へ行ってみてください。

ただの公園に見えても標高100〜200m程度の山になってることがほとんどで、普段運動しない人にとっては、いい運動になります。
「標高差200m余裕だった」とか「標高差200mでこんなにツラいのか」という自分にとっての基準になってくれるはずです。

大山の近くなら弘法山公園がオススメ。緩やかなアップダウンが続くハイキングコースで、駅から徒歩で行けるアクセスの良さが魅力。弘法山については別の記事で詳しく紹介しています。

”自分の体力”で決める大山のコース選び

初めての大山で山頂に辿り着けなった私は、弘法山や高尾山でトレーニングを重ね、大山にリベンジしました。

最初はヤビツ峠からのイタツミ尾根コース、次にケーブルカーを利用して表参道コース、そして最後にケーブルカーなしコースと、大山のなかでも難易度の低いコースから順番に挑戦しました。

ここでは私が実際に歩いた3つのコースについて、それぞれの特徴と「どんな段階で挑戦したか」をお伝えします。

ステップ1:ヤビツ峠から登るイタツミ尾根コース

小田急線秦野駅からバスで約50分、ヤビツ峠からスタートします。

登りの所要時間は1時間37分、距離は2.1km、標高差は507m。大山のなかでは比較的緩やかで、登りやすい登山道ですが、体力のない私は登っては休憩を繰り返したため2時間かかりました。

あとで知ったのですが、「休憩せずに登り続けられる速度」で登ったほうが疲れにくいので、このときの私は体力がないのに、わざわざ疲れる登り方をしていたようです。

1つ注意したいのが、バスの本数が少ないこと。休日は始発のバスから長蛇の列ができ、くねくね山道を50分立ちっぱなしだと結構疲れます。体力温存のため座りたい人は早めに並びましょう。
私がバスを利用したときは、始発バスの45分前に並んで前から2番目、20分前に並んだときは1台目のバスにギリギリ乗れるくらいでした。日によっても変わりますが参考までに。

帰りはバスの時間に合わせて下山するのは難しいので、大山阿夫利神社下社方面へ下山し、ケーブルカーを利用するのがおすすめです。

私はイタツミ尾根を登る前に、登り標高差500mまでの山を選んでトレーニングしていました。

イタツミ尾根を登る前に登った山
  • 弘法山(294m)
  • 鎌倉アルプス(245m)
  • 高尾山(468m)

※()内の数字は標高ではなく、登り標高差です。

ステップ2:ケーブルカーで登る表参道コース

小田急線伊勢原駅からバスで約30分、大山ケーブルバス停からスタート。

登山口からの登り所用時間は1時間55分、距離は1.8km、標高差は588mですが、バス停からケーブルカー乗り場までと、ケーブルカーを降りてから登山口までを含めると、プラス所要時間26分、距離0.8km、標高差124mです。

こま参道や茶屋を通るコースなので観光気分になりがちですが、意外としっかり登ります。
このコースの核心部は登山口にそびえる階段。手すりを掴んでいないと後ろに転げ落ちそうになる角度で、この階段を見て引き返す人もいるほどです。狭い階段の途中で休憩するのは難しいため、止まらずに登りきれるスピードでゆっくりゆっくり登ってください。

大山山頂登山口階段
大山山頂登山口階段

平日でも登る人が多いですが、周辺のお店は土日祝日のみ営業のところもありますので、お目当てのお店がある場合は事前に確認を。

表参道コースを登る前は、登り標高差600mを目安に登っていました。

表参道コースを登る前に登った山
  • 三ノ塔(562m)
  • 高尾山稲荷山コース(535m)
  • 金時山(622m)

※()内の数字は標高ではなく、登り標高差です。

ステップ3:ケーブルカーなしで登る表参道コース

小田急線伊勢原駅からバスで約30分、大山ケーブルバス停からスタート。

登り所要時間は3時間4分、距離は3.2km、標高差は954m。大山阿夫利神社下社までケーブルカーで6分のところを、1時間10分ほど歩いて登ります。石段が続く神聖な雰囲気の登山道で、いろんな意味で修行僧の気分が味わえます。登るたびに「もう二度と来ない」と思いながら、何回も登ってしまう不思議な山。今でも翌日は必ず筋肉痛になります。

個人的には中級者向けだと思ってますが、体力さえあれば素人でも登れてしまいます。
実際にスニーカーにジーパン、セーターといった普段着で登ってる人を見掛けることもしばしば。
とはいえ、装備や持ち物の工夫で快適さが段違いなので、できる限りの準備はしたいところです。

ケーブルカーなしで登る前は、登り標高差700m前後の山に登っていました。
本当は800~900mくらい登りたかったのですが、ちょうど良い山が近くにありませんでした。

ケーブルカーなしで登る前に登った山
  • 大野山(693m)
  • 陣馬山(724m)
  • 三浦アルプス(722m)

※()内の数字は標高ではなく、登り標高差です。

登山の持ち物|初心者リアル

ここでは登山の必携リストと合わせて、私が初めて大山に登ったときの持ち物を紹介します。

必携リストの持ち物はあるに越したことはありませんが、現実的には普段使わないものを最初から買い揃える人は少ないでしょう。そこで教科書的な必携リストだけではなく、買い揃えるまでは家にあるもので代替してた私のリアルな持ち物をご紹介します。

必携リストの持ち物は不測事態が起きたときに自分を守ってくれる大切な装備です。
「代替でも大丈夫」という意味ではない点だけ、ご理解ください。

教科書的な必携リスト
  • リュック:軽量で背負いやすいもの
  • 飲み物:体重50kgの人が6時間行動すると1.5L必要
  • 軽食:見かけよりエネルギーを消費するので簡単に食べれるものを持参
  • スマホ:YAMAPやヤマレコのGPSアプリを用意
  • 予備バッテリー:山ではスマホが命綱、必ず持参
  • 防寒着:真夏でもウィンドシェルは必要
  • レインウェア:できれば上下セパレートタイプのものが◎
  • ザックカバー:リュックが雨で濡れないようにするアイテム
  • ファーストエイド:絆創膏やテープなど必要なものを
  • ヘッドライト:いざという時の備え、スマホのライトでは手が塞がってしまう

レインウェア、ザックカバー、ヘッドライトは元々持っている人は少ないですよね。
私がこれらを買い揃えたのは、「これからも登山を続ける」と決めたときでした。

私のリアルな持ち物
  • リュック:ビジネス用のリュック
  • 飲み物:500mlペットボトルを2本
  • 軽食:プロテインバー1本
  • スマホ:YAMAP無料版
  • 予備バッテリー:普段使用しているもの
  • 防寒着:ユニクロのポケッタブルUVカットパーカ
  • レインウェア:以前フェスで購入したポンチョ
  • ザックカバー:家庭用の大きいゴミ袋
  • ファーストエイド:絆創膏とテーピング用テープのみ
  • ヘッドライト:なし

持っていなかったものは「正解ではないが、ないよりマシ」という基準で準備したもの。ヘッドライトだけ代替案がなく、良くないのは分かっていましたが、いざとなったらスマホのライトで対応するつもりでした。防寒着は季節によっても変わりますので、気温に合わせたものを準備してください。

登山の服装|初心者はなに着る?

最初は速乾性のある素材や動きやすいものであれば、ユニクロやワークマンで十分です。
具体的にはTシャツはポリエステル、パンツはポリエステルかナイロン素材のものが◎、綿素材やヒートテックは乾きにくく、登山には不向きなので避けてください。

私は全身エアリズムを持っていたので何も買わずに手持ちの服で登りました。問題点は普段家着として着ているものばかりなので、パジャマで山に登ってる気分になることくらいです。
私が全身エアリズムで大山に登ったのは9月、下界では最高気温30°前後でしたが、山頂は肌寒くポケッタブルUVカットパーカ(ユニクロ)を羽織りました。

大山登山で着用したアイテム
大山登山で着用したアイテム
私が着用したアイテム
  • ドライEXクルーネックTシャツ(ユニクロ)
  • ウルトラストレッチアクティブジョガーパンツ(ユニクロ)
  • エアリズムの下着
  • ウォーキングシューズ(ニューバランス)

「登山を続ける」と決めてからも、レインウェアや登山靴などの優先順位の高いものから揃えていくので、今でも一部のウェアはユニクロのものを使っています。

まとめ

大山は初心者でも登れる山ですが、緩やかなハイキングコースではありません。
実際に登ってみると急な登りや長い階段が続き、想像以上に体力を使います。

自分の体力が分からない人や何年も運動していない人は、いきなり大山で山頂を目指すのではなく、ぜひメッツ表の確認や近所の⚪︎⚪︎山公園へ行って現在の体力を確認してみてください。
コース選びでも難易度が変わりますので、下調べも重要です。

”初心者向け”という言葉をそのまま受け取るのではなく、「自分にとってどうか?」という視点で準備し、無理のない計画で大山歩きを楽しんでください。

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