絶景が楽しめ初心者にもおすすめされることの多い金峰山ですが、「自分にも登れるかな」と不安に感じていませんか?
実は、高いところが苦手な人、岩場の経験が少ない人は注意が必要です。
私はかなり下調べをして大弛峠から金峰山に登りましたが、実際登ってみた感想は「これが初心者向けなら登山は続けられないかも・・・」といったものでした。
この記事では、「体力に自信のない中年」である私が、金峰山に登ったときに泣きそうになったポイント5つと、その対策についてお伝えします。
暗いところが怖い、高いところが怖い、低山しか登ったことがない、これらに該当する人にはぜひ読んで欲しい内容となっています。
金峰山ってどんな山?
金峰山(2599m)は、山梨県甲府市と長野県川上村にまたがる奥秩父の盟主。
山梨県側では”きんぷさん”長野県側では”きんぽうさん”と呼ばれ、日本百名山に選ばれています。
金峰山のシンボルとなっている五丈岩は高さが15mほどあり、遠くからも見ることができます。
五丈岩は麓にある金櫻神社の御神体とされており、信仰のシンボルでもあります。
山頂からは360°の大パノラマが広がり、雄大な景色が楽しめ、初心者から上級者まで多くの人に愛される人気の山です。

金峰山へのアクセス
金峰山には複数のコースがありますが、ここでは大弛峠(おおだるみとうげ)へのアクセスを紹介します。
電車・バス
最寄り駅のJR中央本線塩山駅までは、新宿駅から特急に乗れば約1時間半。塩山駅からは登山バスか、タクシーで大弛峠に向かうことになります。
登山バスは要予約制で、料金は2026年10月現在で片道3,000円。運行していない期間もありますので、詳細は栄和交通のホームページをご確認ください。
株式会社 栄和交通 大弛峠(金峰山)ツアー募集要領
マイカー
中央自動車道勝沼ICから1時間40分、または中央自動車道一宮御坂ICから1時間30分ほど。
長野県側からも入れますが、かなりの悪路のためおすすめしません。
大弛峠への林道は冬期閉鎖があります。例年の閉鎖期間を掲載しておきますが、積雪や天候により前後しますので、最新の情報は各自治体のホームページをご確認ください。
| 県名 | 期間 | 最新情報 |
| 山梨県側 | 12月〜5月下旬 | 山梨県 県営林道通行規制情報 |
| 長野県側 | 11月〜5月下旬 | 長野県川上村 村内道路情報 |
駐車場は34台ほどで、車中泊組もいるため早い時間に満車になることが多いです。
私が訪れたときもかなりの台数が路肩に停められていました。
カーナビ検索では目的地が正しく検索できず、マップコードで検索しました。
大弛峠のマップコード:664 724 386*05
駐車場は争奪戦?
金峰山の人気に対して大弛峠の駐車場は少なく、壮絶な争奪戦となります。
週末やシーズン中は前日の夜に満車になることも。
私が訪れたのは2026年8月24日(月)の平日。駐車場に着いたのは朝5:20頃。
34台の駐車区画のうち、到着時は13台停まっていました。車中泊をしている方も。
その後も続々と車が入ってきて、準備している間にプラス3台。
下山した11時頃には満車で、砂利の部分に5台、路肩にも長野県側7台、山梨県側3台駐車していました。私にはこれ以上停めれないように見えましたが、慣れてる人はスペースを上手に見つけるのかもしれません。平日でも7時には満車と聞きますので、やはり早めの到着をおすすめします。
11時前後に出る車が私を含め5台ほどいたため、遅めに到着した車は普通に駐車場に停めていました。もっと早い時間に下山した方もいたので、この辺りはタイミング次第です。
天気予報が良くないときは「駐車場ガラガラだった」との声も聞きますので、
天気予報によっても変わってきそうです。

トイレ情報
大弛峠駐車場には24時間利用できる水洗トイレがあります。
私が訪れた時はトイレットペーパーもありましたが、念のためペーパーは持参すると安心です。
女性のトイレは和式が2つ。手洗いの水は出ないこともあるようです。
ワイルド系トイレで、お世辞にも綺麗とは言えないです。
しかしここは標高2360m。トイレがあるだけ有難い世界線へお邪魔しているので、仕方ないですね。
トイレの中に美化協力金のBOXが設置されていて、金額の指定はありませんでした。
私は「トイレの維持ありがとうございます」の心を込めて100円投入しました。
私は明るい時間にトイレを利用しましたが、それでも暗いと感じました。
日の出前や日の出直後に利用する場合はヘッドライトが必要です。


初心者が泣きそうになった5つのこと
金峰山は山梨県 山のグレーディングで技術的難易度A、体力度2。大菩薩嶺も同じA2のグレードに分類されています。めっちゃ初心者向けな感じがしますよね?
そう、間違いなく初心者向けです。実際に登ってみて技術難易度も、体力度も「まぁそのくらいかな」と言う感想でした。
ただ、今まで登った山で1番高度感があっただけです。
標高自体が高いのも理由の一つですが、金峰山は「高度感が出やすい条件」が揃っています。
むき出しの荒々しい巨岩が多く、土の道と違って崖の上に立っている感覚や、周囲に高い山がないため、見下ろす景色に吸い込まれるような高度感があります。
これらは金峰山の良さでもあり、手軽さに対して味わえる景色とダイナミックな登山道はコスパ最高。それゆえに初心者でも比較的早い段階で行きたい山の候補になります。ここでは低山からのステップアップとなる金峰山で泣きそうになるポイントについて独断と偏見を交えながら解説します。
真っ暗な山道。突然消えた音
日の出前に街灯のない山道を運転したことありますか?
私は行ってから初めてだったことに気付きました。これが思いの外、いや、めちゃくちゃ怖い。
暗いのも怖いし、対向車が来たらどうしよう?の怖さもあります。森の中からタヌキなんて出てきたら悲鳴あげちゃいます。しかも道中で突然、流してた音楽がプツッと切れたんです。
なぜなら電波が届かなくなったから。
私はBluetooth接続し、車でもSpotifyで音楽を聞いているのですが、無料プランなのでオフライン再生ができないのです。そう、電波がないところでは音楽が聞けなくなるんです。
冷静に考えれば当たり前のことなのですが、今までは有料プランを使っていたので初体験でした。
その後は無音のなかで運転することに。
山頂付近や稜線は繋がるキャリアもありますが、駐車場や林道は基本的に繋がらないようです。

私は中央道勝沼ICから向かいましたが、本格的な山道を60分ほど運転します。
運転は普段からしてるし、苦にならない方ですが、この状況での運転はすごく長く感じました。
「結構走ったな、あとどれくらいかな?」と時計を見ると「さっきから5分しか経ってない!」という茶番を何回やったことか。
「夜中2時起きで慣れない山道の運転」というシチュエーションは、登山をやっていると経験することが多いかと思います。日常生活で再現するのは難しい状況なので、せめて暗闇に慣れる練習が必要です。
同行者がいれば恐怖は和らぐと思いますが、ソロの人も多いはず。そんな人は日の出前に近所を散歩するところから始めてみるのはいかがでしょうか?
実際に日の出前に近所を散歩してみたら、行く前は「暗いの嫌だな」と億劫でしたが、静かに歩けて意外とハマりそうです。
偽ピークと雲海
大弛峠から金峰山に向かう途中に、朝日岳があります。この朝日岳の手前にある偽ピークが超絶景ポイントであり、高いところが苦手な人には怖いポイントでもあります。
そもそもこの偽ピークに至るまでに岩をよじ登るのですが、これだけでも「え?高いけど、ここ登るの?」となりました。

偽ピークを登り切ると山頂と言っても過言ではない絶景が出迎えてくれます。私が登ったときは雲海が広がっており、初めて肉眼で見る雲海にため息が止まりません。
しかし、登りきったこの偽ピークはとても高度感がある場所なのです。
足元はゴロゴロとした岩場で足の置場を考えて進む必要があり、ここまでの登山道に比べるととても不安定に感じました。広さは十分にあるので、足元だけ見ていればそこまで高度感はないのですが、どうしても絶景に目を奪われてしまいますので、否応なしに高さを意識することに。

私は高所では心拍数が上がり、足がすくんでしまいます。想像力が豊か過ぎて最悪のシナリオが何通りも頭の中に浮かぶうえ、身体能力がポンコツのため、自分の能力では対応できない予感も強く、過剰な反応が出てしまいます。
しかし、下山は登りのときと比べると怖さは半減。「どういう場所なのか」わかっているだけで心に余裕を持てます。事前の下調べが大切です。
激下りのガレ場とザレ場
朝日岳を過ぎると、一度下ります。
この下りが怖いほどの斜度で激下りするんです。
アップダウンがあるのは把握していましたが、これほどの斜度は想定していませんでした。
急なザレ場とガレ場があり、非常に滑りやすく神経を使います。
標高差600m未満なのでライトな印象を受けますが、標高自体が高いのでしっかり難所はあります。
朝日岳通過して数秒で登山道の様子が変わります。
登山者でなければ「道がない」と、言われるであろうガレ場の出現に、朝日岳で落ち着いていた心拍数が上がりだします。下りなのに。

場所によっては手も使いながらこのガレ場を下り切ると、ホッとする間もなく急降下のザレ場が現れます。またしても豊かな想像力で「このザレ場でこの斜度だと、一度滑ったらどこまでも滑り落ちそう」などと考えてしまい、下りなのに上がる心拍数。
ザレ場の登山道は九十九折りで、時間にすると10分もない程度の距離ですが、足の置き場や重心などを考えながら慎重に下ったので、とても長く感じました。

画像では伝わりづらいですが、かなりの斜度です。しかもピストンなので下山時はこれを登るのです。今回の山行で1番キツい登りは、ここのザレ場とガレ場の登り返しだと思います。下山なのに登るという精神的なキツさと、工程の終盤に登るという体力的なキツさを兼ね備えています。
ザレ場の下りは怖くて重心が後ろになりがち。私もへっぴり腰で転んだ経験があります。
ここは地面に対して垂直に立ち、小股でハンコを押すように歩くことを意識してください。
とは言え、ちょっと気を抜くとへっぴり腰になってしまい反省。わかっていても出来ないことがたくさんあります。
いざ、山頂へ。道がない?
ザレ場ガレ場を過ぎるとこれと言った難所もなく、もうすぐ山頂。
の、はずなのですが道がないんです。
大きな岩がゴロゴロしていて、山頂はこの岩の向こうなのは地図を見たらわかるのですが、どうやってこの岩を越えたらいいのかがわからないのです。
岩はとても大きくてどの岩を越えるにも手を使う必要があり、どっちに進んでも道があるようには見えない。朝早く登ってしまったので回りに他の登山者もいない。
しばらく迷ってウロウロしていましたが、岩にペンキで書かれている矢印を見付けました。そうか、岩場ってこういう目印なのYouTubeで見たことある。
低山慣れしていると道標って道にぶっ刺さってる標識のイメージなんですよね。

迷ってる間は「道がわからない=遭難」が頭に浮かんでいました。現在位置は把握しているし、自力で下山可能だったので、下手に進んで遭難するより引き返そうか真剣に悩みました。
そうこうしていると呼吸が浅くなり、心拍数も血圧も上がる感覚があり、「これパニック状態じゃん。一旦落ち着こう」と、数十メートル手前まで戻り遠くから眺めてみることに。そこでようやく道標を見つけることができました。
下山でここを通ったとき、同じように迷ってる方がいました。YAMAPにも何も書いてないし、私が不慣れだから迷っただけでみんなは迷わずに辿り着けるものだと思っていましたが、意外と迷いやすいのかも。
この先も道標は岩に書かれた印だったり、木にくくりつけられたピンクテープだったりします。
どうやって作ったのか、絶妙なバランスを保っている岩のトンネルが見えれば山頂は目と鼻の先です。

低山慣れしていると、無意識に分かりやすい道標を探してしまいます。
行かれる際は、岩に書かれている矢印を見つけてくださいね。不安な方は人が多い時間に登るのもいいと思います。駐車場争奪戦もあるので何時から登るか悩ましいところです。
五丈岩は見えるけど遠い
迷いに迷って辿り着いた山頂ですがホッとしたのも束の間、すぐにイメージとは違うことに気付きます。事前に調べてイメージしていた広々とした山頂は、山頂ではなく五丈岩前の広場のようです。実際の山頂は非常にコンパクトで、山頂標識があるだけでした。

金峰山の山頂から奥の方へ目を向けると、鎮座している五丈岩が見えます。ここまで来たからには五丈岩にも行きたい。けれど、またしても道がないのです。正確には「初心者のイメージする登山道がない」と表現した方がいいかもしれません。
山頂から五丈岩までは、ゴロゴロ転がっている自分の背丈ほどもある巨岩を足場にして向かいます。高いところが苦手な人や体幹に自信がない人は結構怖いと思います。周りに人がいなかったため「本当にここを登っていくの?間違ってるかも」と言う怖さもありました。

五丈岩を正面に見て右の方向に、金峰山小屋方面への登山道があり、ここから回って行けば巨岩を乗り越えることなく、五丈岩へ辿り着くことができます。
私は怖くてこの岩ゾーンを越えることができませんでした。回り込んで行っても良かったのですが、山頂手前の道迷いで心が折れかけていたところに追い討ちとなり、五丈岩まで行かず下山することにしました。目の前に見えているのに辿り着けず、もどかしい思いをしましたが、自分の力量不足です。
登山において慎重さは必要ですが、慎重過ぎて五丈岩に行けないのは過剰ですよね。
初心者だから、体力がないから、筋力がないからと安全に全振りしたゆるい登山を楽しんでいた副作用が出たようです。もしかしたら少しだけチャレンジをしてみるタイミングだったのかもしれません。
高度感が苦手な方は金峰山の前に大菩薩嶺と北横岳を登ってみてください。初心者でも登れて高度感やゴツゴツした岩の雰囲気を味わえる山だと思います。
まとめ
金峰山は初心者でも登れる山ですが、高度感が出やすい条件が揃っています。
実際に登ってみると、足がすくむ場面が多々あります。
今回の山行では「登山とは、本能が恐怖を感じることをあえて行うスポーツなのだ」ということを痛感しました。高所に慣れる練習も必要ですが、事前に分かっているだけで恐怖が和らぎますので、高度感がある場所を調べておくことをオススメします。
人気の山なので「初心者でも楽しめる」「絶景が楽しめる」と言うワードが目立ちやすいですが、「自分の苦手」と言う視点からの下調べも重要です。
”初心者向け”という言葉をそのまま受け取るのではなく、「自分にとってどうか?」という視点で準備し、無理のない計画で山歩きを楽しんでください。


