今回は八ヶ岳入門としてもよく紹介される北横岳に登ってきました。
ロープウェイを利用すれば登り標高差は282m、登山道も整備されていて歩きやすいらしい。
初心者向けを間に受けてはいけないと学んだ登山3年生の私は、入念に下調べをして臨みましたが、
実際に登った感想は「思ったよりキツかった」というものでした。
この記事では、持久力なし・筋力なし・体幹なしの三拍子を兼ね備えた「体力に自信のない中年」が、北横岳に登ったときに感じた、登山前のイメージと違ったことを体験談とともにお伝えします。
北横岳ってどんな山?
長野県南佐久郡と茅野市の間に位置する北八ヶ岳の山。正式名称は「横岳」、しかし南八ヶ岳にも同名の「横岳」があるめ、便宜的に「北横岳」と呼ばれています。
二つの山頂を持っており、標高は南峰2472m、北峰2480m、ロープウェイで標高2237mまでアクセスが可能。
コース次第では初心者から上級者まで楽しめ、ロープウェイは通年営業のため一年を通して人気の山で、標高2237mのロープウェイ坪庭駅周辺は登山客以外にも多くの観光客が訪れる。
枯木帯と成木帯との2層が交互になり縞々に見える縞枯れ現象が有名で、天気が良ければ山頂からは八ヶ岳連峰や、南アルプスが一望できます。

北横岳へのアクセス
ロープウェイを利用する場合も、しない場合も、北八ヶ岳ロープウェイが起点になります。
公共交通機関
JR東日本 中央線 茅野駅下車
茅野駅西口 アルピコ交通バス乗り場 2番のりば「北八ヶ岳ロープウェイ」行きで約60分
アルピコ交通公式サイト 北八ヶ岳ロープウェイ線 料金・時刻表
マイカー
中央自動車道 諏訪ICから約50分ほど。24時間営業の無料駐車場が600台あります。
北八ヶ岳ロープウェイについて
100人乗りのロープウェイで、標高1,771mの山麓駅から標高2,237mの坪庭駅までを約7分で繋いでおり、通常は20分間隔で運行しています。
私が訪れた2026年7月30日は、始発8:00、大人往復2,600円でした。
各種割引があり、私はモンベル会員割引を使用し2,400円で購入。
運行時間は季節や曜日によって変動します。最新の運行状況や料金は公式サイトでご確認ください。
北八ヶ岳ロープウェイ公式サイト ロープウェイ案内

コース概要
今回はロープウェイを利用して北横岳の南峰・北峰のみを登るコースにしました。
※実際に私が歩いたデータです。
| コースタイム | 距離 | 登り標高差 | 下り標高差 |
| 2:22 | 3.8km | 275m | 286m |
ロープウェイ使う?使わない?
結論から言うと、初心者や体力に自信がない方はロープウェイの利用をオススメします。
理由は「実際の数字以上にきつい」と感じたためです。
ロープウェイありと、なしを比較した表がこちら
| コースタイム | 距離 | 登り標高差 | |
| ロープウェイあり | 2:12 | 3.6km | 282m |
| ロープウェイなし | 3:53 | 5.9km | 745m |
私は「ロープウェイだと300mも登らないんじゃ物足りなそう」と、思ったんです。
そのため計画はロープウェイありとなしどちらも用意。
登り標高差745m程度なら今までも経験があったので問題ないと考えていました。
登山当日、突発で予定が入り早く帰宅する必要があったため、コースタイムを短縮する目的でロープウェイ利用に変更。
結果的に登り始めて30分で「ロープウェイ使って良かった!」と心の中で叫んでいました。
なぜ標高差以上にキツいと感じたのか?について、次の章で分析してみました。
標高差以上にキツいのはなぜ?
282mの登り標高差って大したことないって感じませんか?
高尾山6号路の登り標高差が559mです。単純に比較はできませんが、それでも約半分ほど。
そのため登る前は余裕だと思っていましたが、いざ登ってみたら山頂に着く頃にはヘロヘロに。
この舐め腐った根性が原因であることは間違いないのですが、ここでは精神論ではなく、客観的な理由を解説します。
標高差は低いが標高が高い
「標高差」は低くても「標高」は高いので、息が上がりやすかったんです。
私のような低山ハイカーは序盤からかなりのスローペースで歩くことをオススメします。
よく「空気が薄い」と言いますが、厳密には「空気が薄い」と言う表現は誤っていて、
正しくは「酸素分圧が低い」と表現します。
標高が低くても高くても空気中の酸素濃度は21%なので空気は薄くなっていないのです。
酸素分圧なんてあまり聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと「押しこむ力」のこと。
標高が上がると気圧が下がり、気圧が下がると酸素分圧も下がるため、
外の酸素が体の中に酸素を押し込む力が弱くなるイメージです。

今まで登ったことのある2,000m以上の山は大菩薩嶺、王ヶ頭、王ヶ鼻と、
ハッピーセットのようなラインナップでした。
そのため標高が高くなると酸素分圧が下がることは知識として知っていましたが、
実際に体感すると、最大能力値が強制的に引き下げられた感覚でした。
急登でペースを掴みづらい登山道
距離3.8kmで標高差275mを登るので、数字だけ見ると余裕そうですが、ロープウェイ坪庭駅から登山口までの1.0kmはほぼ平坦な散策路です。
余裕と思っていたのにキツいと、ペース配分を誤ることになります。(実際誤った人です)
実質距離2.8kmで標高差275mを登ることになります。
今回は下山も同じコースだったので、登り距離を半分として勾配を比較してみました。
| 距離 | 標高差 | 平均勾配(%) | |
| 坪庭駅〜山頂 | 1.9km | 275m | 14% |
| 登山口〜山頂 | 1.4km | 253m | 18% |
ほぼ平坦なロープウェイ坪庭駅〜登山口までの省くと勾配が4%もキツくなります。
なんでもそうですが、どこで切り取るかによって見え方が随分違います。
便利な登山アプリに頼りきってないで、地図をしっかり見ればよかったと反省。
急登に加えて、岩が多く登りづらい登山道や、すれ違いや追い抜きに気を遣う箇所も多く自分のペースで登りにくかったことも要因の一つであると思います。
私はペースが遅いので、後ろから人が来ていれば「早く避けれるとこに行かなくては」と少しペースを上げてしまいがち。
逆に前の人に追い付きそうになると「どうせ先の方で抜かれるに違いない」とペースを緩めがち。
余裕がある時や、十分な広さがある登山道なら問題はないのですが、相互の気遣いが必要な場面ではどこまで自分のペースを保っていいのか模索中です。
いや、一生自分のペース保てないかも。

1ヶ月ぶりの登山で衰えていた
登山に行く頻度ってどのくらいが一般的なのかわからないのですが、北横岳は1ヶ月ぶりの登山でした。
筋肉や心肺機能が衰えるには充分な期間です。
結果的に、「山に行けないならトレーニングをしろ!」これに尽きます。
私は神奈川県民なのですが、夏、暑くて近場の山に登れない問題に直面しています。
というか、そういう方多いですね?
丹沢山域は暖かくなるとヤマビルパラダイスなので、足が遠のいてしまう。高尾山域も真夏は暑い。
となると、もうプチ遠征するしかないのです。
プチとは言え、交通費も時間もかかるので頻繁には行けず、結果1ヶ月ぶりの登山になりました。
真夏でも涼しい山は標高が高くて、標高が高い山へは気軽には行けなくて、気軽に行けないから標高の高い山に登るときは久しぶりの登山になる負のスパイラル・・・
普段からトレーニングはしています。
毎日スクワットと踵上げは10回を7セットやってるし、
週2回はフィットネスバイクを1時間、最大心拍数の75%を測りながら漕ぐし、
2週間に1回は30分の階段昇降、他にも色々やっています。
結構頑張ってるつもりですが、もしかして足りてないかも?
「じゃあ、どの程度トレーニングしたらいいのさ?」と、思って調べました。
鹿屋体育大学の山本正嘉教授らは、コースタイム通りに歩いても大きなトラブルを発症することなく安全に登山を行なうためには、1ヶ月に±2000mの登下降を行なうことが重要、としています。
山と渓谷オンライン
予想より随分キツい・・・
1週間あたり500mで毎月2000mが理想のようです。
登山±500を500ポイントとして、坂道ウォーキングをはじめとした様々な種目のポイントが
掲載されていますので参考にしてみて下さい。
自分なりの1週間500mのメニューを作成して取り組むとよいでしょう。私も作成してみます。
山と渓谷オンライン 中高年登山者の運動生理学と体力不足の改善方法
暑さ、寒さ、紫外線対策
真夏でも最高気温が20℃ほどと涼しい北横岳の山頂。
標高が100m上がるごとに0.7℃気温が下がるので、
標高2480mの北横岳は平地と比べると17℃ほど低くなる計算になります。
とはいえ、登っている時は暑いので暑さ対策も必要です。私はひんやりタオルを持参し、こまめにアクエリアスを飲んでいました。
逆に停滞時は急登を登ってかいた汗が一気に冷えて寒くなるので、休憩時はザックを下ろして最初にやることは上着を羽織ることです。
私は真夏でも長袖長ズボンですが、休憩時はこれにウィンドシェルでちょうど良かったです。
さらに気を付けたいのが紫外線。
紫外線は標高が1000m上がるごとに10%増えると言われています。(条件によっては15%増えることも)
標高2480m付近では平地と比較すると25%ほど紫外線が強くなる計算です。
紫外線対策をしないと日焼けというより火傷してしまいます。日焼け止めは急登続きで滝のようにかく汗で絶対流れてるに違いない。
となると、こまめに塗るか、肌を出さないかしかありません。
私が今回日焼け止めの塗り直しをしたのは、
駐車場、北横岳ヒュッテ、山頂、駐車場と計4回でした。
もっとこまめに塗り直すのが理想ですが、現実的にこれ以上は難しいと思います。
日焼け止めを塗ってもどうせ流れるし、やはり肌を露出しないのが1番。
長袖、長ズボン、キャップ、サングラス、これらを身に付けて対策しました。
ヤケーヌやアームカバーを使っている人もいました。
以前清里テラス(標高約2000m)に遊びに行ったとき、半袖なのに日焼け止めを塗り忘れて、びっくりするほどの日焼けをしたことがあります。
くれぐれも対策をお忘れなく。

オススメは始発ロープウェイ
7月30日はオンシーズンの平日でしたが、10時台の上りロープウェイは満員でした。
ロープウェイが満員ということは、それだけ登山者も多いです。
下山時に北横岳ヒュッテを通過したのがちょうど10時頃。そこから先はかなり登ってくる人とすれ違いました。避けて避けて、登りの人がいない隙に走るように下る・・・の連続でした。
さらに坪庭にはたくさんの観光客。
逃げるように下りの10:40発ロープウェイに乗り込みました。途中で上りロープウェイとすれ違ったのですが、超満員でした。
平日であの人数なので、休日はもっと多いと思います。
静かな山歩きをするなら始発ロープウェイをおすすめします。
参考までに私が訪れた日の始発ロープウェイは20人〜30人程度でした。下山は上り登山者の波に多少巻き込まれてしまいますが、登りで巻き込まれるよりはマシかなと思います。
めちゃウマ「こけももクリームチーズ大福」
下山したら絶対食べると決めていました。
お土産用に冷凍してあるものと、その場で食べる用の冷蔵のものが売っています。
帰りは3時間半くらいかかるのでお土産は泣く泣く諦めましたが、冷蔵をその場で頂きました。
こけももクリームチーズ大福めちゃくちゃ美味しかったです。(私がチーズ好きなのと、下山後というブーストがかかっているかも)
食べ物を前にすると写真を撮る前に食べてしまう食いしん坊のため、AIにこけももクリームチーズ大福のイメージ画像を作ってもらいました。

実物とは少し違いますが、イメージはピッタリです。
「もう1個、いや、もう2個くらい食べればよかったなー」と後悔しています。
さっぱりしているので3個くらいイケちゃいそうです。
お土産コーナーは結構大きくて、他にも色々売っていましたので、立ち寄ってこけももクリームチーズ大福をぜひご賞味ください。
まとめ
北横岳は初心者でも登れる標高の高い山ですが、低山とは勝手が違います。
実際に登ってみると「高標高による体力の消耗」や「意外としっかりとした急登・岩場」など、数字以上のキツさがあることを身をもって実感しました。
- 低山とは違う標高の高さを意識して、序盤からスローペースを保つこと
- 普段からのトレーニングで筋肉や心肺機能を維持しておくこと
- 標高2,000m超ならではの寒暖差や強力な紫外線への対策を怠らないこと
しっかり下調べや準備をして臨めば、山頂から見渡せる八ヶ岳や南アルプスの絶景、そして下山後の美味しい「こけももクリームチーズ大福」といったご褒美が待っています。
「初心者向け」という言葉を鵜呑みにせず、万全の対策と少しの余裕を持った計画で、ぜひ北横岳の魅力的な山歩きを楽しんできてください!
YAMAPの活動日記はこちら


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